読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

僕が自由を証明しようと思う

ブログ『僕が自由を証明しようと思う』運営。 仕事漬けの20代を過ごし、得た経験・価値観・楽しさを中心に書きます。 雑記系(仕事論/マーケティング/時事ネタ/心理学/チャラいネタ)です。 ご連絡・問い合わせはFacebook、Twitterから。またはメール(w.sato0417@gmail.com)までお願いいたします。

電通社員の自殺報道から考えた、部下を「うつ」にしてしまった僕の重い過去

■政治/経済/社会

【スポンサーリンク】

f:id:w-sato0417:20161009124444j:plain

電通社員の過労によるとされる自殺のニュース。

たくさんの著名人、ブロガーさんが言及されていますが、中でも個人的に一番ぼくと考えが近かったのは、Shinさんの『電通社員を自殺にまで追い込んだ真の要因は、「過労」それ自体ではない』という記事でした。

多くのメディアが長時間労働による「過労」に原因を置いている中で、Shinさんの記事は本質はそこじゃない、としています。ざっくり言うと。

ぼくはこの意見に大賛成で、電通および、その他の世論がこの一件を【長時間労働】とか【ブラック企業】へばかりに注視すればするほど、抜本的な改善からは離れてしまうと感じています。

というのは、実はぼくも、自分の部下を「うつ」にしてしまったという、重い過去を持っています。

当人は現在とても元気になって、今でこそ一緒に飲みに行けるくらいになっていますが、ぼくは当時のことを激しく反省をしているし、避けられたことであったと後悔しています。

 

今回は、そんなひとりの部下を「うつ」にしてしまったぼくなりの経験から、多くの人に知ってほしい、部下のSOSサインを拾うことの重要性を書きたいな、と思いました。

 

 

ぼくには、ひとりの部下が「うつ」になるまで救えなかった重い過ちがある

当時、ぼくはマネージャーとして多くのメンバーを抱えていました。

ざっくり言うと、複数の部署を統括して、部署ごとに設定されたミッションのフォロー、KPIの軌道修正をするための戦略設計、および上流設計を行うことが主だったわけですが、あるひとつの部署で新しいチャレンジを行うタイミングがありました。

結論から言うと、「うつ」になったのはその部署のチーム長です。ぼくよりも5歳年上の女性(以下、Kさん)でした。

ぼくとKさんは、かなり付き合いも長く、信頼関係も築けていたのではと思います。

だから、新しいチャレンジのプランニングをKさんに一任し、迷ったら逐一相談するように舵取りを行っていました。

今となって考えると【ぼくと彼女の信頼関係】だけに視点を定めていたのは間違いだったと気づきます。もうひとつケアをすべきポイントは、Kさんとその部下の関係だったのです。

 

チーム長とそのメンバーの関係性ができあがっていなかった

当時チーム長だったKさんは、非常に明るくムードメーカー的な要素が強く、人心掌握力に長けているタイプでした。

ただ、以下に束ねるメンバーに、かなりくせ者が揃っており、Kさんが手を焼いていたようだったのです。

新たなプロジェクトのプランニングをして、メンバーにそれを共有するも「めんどくさいこと」「やりたくないこと」を、平気で主張してくるようなメンバーが一部いたようで、何度かぼくにも相談がありました。

基本的に、ぼくの指示としてはこうでした。

  • 必ず事前にリスクヘッジとして抑えておかなきゃいけないこと
  • 稼働開始後に、発生ベースで軌道修正できること

これをまずは明確にKさんの中で、すみ分けしておくことだ、と。

そのすみ分けを決めるのが、Kさんの仕事で、決めたからにはメンバーから如何なる文句が出てきても、「それは発生ベースで軌道修正しよう」と突っぱねて良いよ、と伝えていました。

メンバーからの主張は、例えば1ヶ月稼働して、1回起こるかどうか。みたいなレベルの細かいことをピックアップしてくることがよくあります。そんなイレギュラーなことをすべて潰す、というのは計画に時間がかかりすぎて、正直お話にならないスピード感になってしまうのです。

 

ぼくの「つっぱねろ」と、部下からの「聞き入れろ」の板挟みになってしまったストレス

今となって、Kさんは「全然ワタルさんのせいじゃない」とは言うものの、ぼくの一番の反省点として、まさに上司(ぼく)と部下の板挟み状態にしてしまったことだと思っています。

中間管理職がある意味で、一番つらいところはこの板挟みでしょう。

メンバーの多くは、新しいことを始めることや、環境の変化に対してネガティブになる傾向があります。

結局、Kさんは部下に対して突っぱねきれなくて、根負けしていました。プロジェクトのプランニングに現場の主張を反映するべく、細部まで見直しをかけるために、残業もひどいことになっていたんです。

その頃から、少しずつ「ムードメーカー」だったはずのKさんの様子がおかしくなってきました。

 

 

日常業務での発言力も弱くなる

まず、ぼくが気づいたのは日常業務でも、なぜかメンバーの顔色を伺いながら仕事をするようになっていました。

メンバーを気づかい働くことはとても重要ですが、メンバーの顔色を伺うことは意味がまったく異なります。プラス部下のKさんに対する態度も明らかに劣悪なものになっていました。

ある日、ぼくがKさんにスカイプで、「ぶっちゃけちょっと悩んでるでしょ?言ってみ!」って一言送りました。

5分くらい返信がこない。ちらっとKさんのデスクを見ました。座っています。というより、うつむいていました。そう、ぼくのスカイプを見て泣いていたんです。

「マジかよ…」って思ったぼくは、すかさずKさんを会議室に呼び出して、個室で2人になることにし、いったん全てのガスを抜こうと思ったのです。

そこで、部下のわがままに付き合ってしまっている自分がいるし、でもそのわがままも一理あるから強く言えない、という悩みを打ち明けてきました。まぁ予想通りです。

だから、ぼくは翌朝その数名ひとりひとりと一回しっかりと時間を作って、マンツーで話することを勧めました。そのときに、どう話せばいいかというポイントも同時にアドバイスをしています。

そこで、持ち直したようにぼくには映っていました…。

 

 

ふと気づくと「あれ?たばこを吸いに行かなくなっている」と思った

Kさんはたばこを吸う方でした。

ぼくも喫煙者なので、よく喫煙室で一緒になったときに他愛もない話をしながら、束の間の一服タイムを過ごしていました。

上述した「部下とマンツーで向き合って話すアドバイス」から2週間後くらいだったと思います。ある日、ふと「あれ?最近Kさんと喫煙室で会わないな。」と思ったんですよね。 

だから、ちょっと気になって聞いてみました。「Kさん、たばこ辞めたの?」と。

「え?やめてないですよ。」と回答がきました。じゃあ偶然会わないだけなのか…、そう思っていました。

でも、おそらくこの時すでに「うつ」へ足を踏み入れていたんだと思います。Kさん自身はたぶん無意識に、たばこを吸いに行ってなかったんだな、と。

 

 

やけに謝る回数が増える、不自然に謝り始める

ぼくが最終的に「やばい」と気づけたのが、この現象でした。

とにかく、なんでも謝ってくるんです。しかも突然そのような対応に変わってしまいます。

例えば、

  • 「Kさん、ちょっといい?」と呼ぶだけでも「すみません、ごめんなさい!はい、大丈夫です。」と返答される。
  • プランのすり合わせで、ぼくが「このX社についてなんだけど…」→Kさん「ごめんなさい!はい!」…ぼく「いや、まだ何も言ってないんだけど。。」

という感じになります。

そして、ついにKさんには考えられない凡ミスがあり、ぼくが「Kさん、これどしたの?」と聞くと、「すみません!ごめんなさい!はい、すみません!なんか頭が回らなくて、ごめんなさい…」と。

 

これ、本当ですよ。

こんな回答になってしまったんです。ちょっと目も泳いでましたね。

さすがに様子がおかしすぎたので、すかさず社長に一度病院に連れていくという報告だけし、その日すぐに病院へ連れていきました。ぼくも同行しました。

 

 

「うつ病」と診断される

半分予想はしていましたが、マジか…というのが率直な感想でした。

Kさんみたいな、明るいムードメーカーには無縁なものと勝手に思い込んでいました。

もちろん、医者からは「自宅療養」の指示が出ます。社長へは2ヶ月間休養させることを報告し、その日からすぐに自宅療養に充てさせました。

 

実は、このKさんの旦那さんも同じ職場でした。(部署は別)

ぼくは、旦那さんにとても申し訳なく、お詫びしてもしてもし足りないくらいです。

その旦那さんに、たまに自宅でのKさんの様子を聞いてました。以下のような感じだったそうです。

  • 治療の一貫として、気になることはすべてノートに書き出す。→2日間でA4の大学ノート3冊分にびっしりとネガティブなことが書き綴られていたそうです…。
  • 夜中の4時とかに突然起こされる。→「どした?」と確認すると、7〜8年前のできごとを蒸し返してきて、「あの時、わたしのわがままでアレ買ってごめんなさい!」と謝ってくる。。

などなど。とにかく、過去とか現在に関わらず、いろいろなことが気になってしまい、一度気になるともう不安で仕方なくなるのだそう。

平気で、ずっと昔のこと、しかもどうでもいいことを夜中に謝ってくることは日常茶飯事だったそうで、旦那さんも寝不足に陥ってました…。ほんとに申し訳ない気持ちです。

 

 

現在は、元気にパートとして復職している

Kさんの現在はというと、パートタイムのアルバイトとして別部署で復職しています。

今では、元のKさんの明るさや、笑い上戸な一面も復活しており、ほんとに良かったなーと思っています。

もうさすがに管理者としては働けないメンタルになっていますが、それなりに短期間で社会復帰できたことに、とても安堵しましたね。

 

ぼくが、電通社員の自殺のニュースを読んで、過去に自分の部下に似たような体験をさせてしまった本件を改めて考えました。

そして、最後に、ここで言いたいことは2つです。

  1. 電通社員の自殺は、「過労」によるものが全てではないこと。
  2. 電通社員の自殺は、絶対に防げたはずであること。

これだけは本当に強く言い切りたい。

 

電通社員の自殺は、「過労」によるものが全てではないこと

冒頭でも述べたとおり、こちらについてはShinさんが記事にしてくれていることが全てです。 

改めて、未読の方は『電通社員を自殺にまで追い込んだ真の要因は、「過労」それ自体ではない』という記事を読んでみてください。

もちろん、残業がきつすぎて過労によることも要因としては含まれていると思います。

ただ、彼女なりに全力を出しきって、頑張って頑張って頑張りぬいたことを、上司に全否定されてしまうこと。それによる精神的にかかる負荷は、想像に耐えません。

こんな接し方をされては、「なんのために頑張ってるんだろう、私」となるのは当たり前。

この自殺の本質の原因は、否定され続け、それでもやらなきゃいけない状況を打破できず、追い込まれた結果、「なんのために」が彼女の中で完全崩壊したこと。そこにあるとぼくは思っています。

 

電通社員の自殺は、絶対に防げたはずであること

彼女のSOSは誰にも届かなかったのだろうか。

日常の様子に少しも変化はなかったのだろうか。

 

ぼくは、Kさんの件を身をもって体験しているので「何も変化がなかったはずはない」と強く言い切れるんです。

変化はあったけど、誰もキャッチアップしなかった結果の悲劇だと思えてならない。

なによりも、このSOSを誰にも拾えてもらえなかった彼女のいたたまれなさに、ぼくは深い怒りを覚えます。

彼女を直接マネジメントされていた上司の方は、この十字架を重く受け止めてほしい。

当事者としてしっかりと向き合っているはずであることを願っています。

心よりご冥福をお祈り申し上げます。